#11 大好きな 「ポケモン」 「ドラクエ」 「マリオ」 に学ぶ、キャリアアップの方法

ポケモンにハマる4つの理由、ドラクエのレベルアップ、スーパーマリオのステージ設定から、ゲームに学ぶキャリアや人生へのヒントをお届けします。
多田 翼 2021.02.04
誰でも

こんにちは!メールを開いていただきありがとうございます。

今回はゲームからキャリアやビジネスを考えます。具体的なゲームとテーマは次の3つです。

  • ポケモンにハマる4つの理由

  • ドラクエのレベルアップ

  • 人生はスーパーマリオ


ゲームは遊んで楽しめるだけではなく、ビジネスやキャリア、時には人生にもヒントがあります。ぜひ最後まで楽しみながら読んでみてください!

ポケモンにハマる理由


ポケモンのゲームをやったことはありますか?

スマホでの 「ポケモン GO」 も含めると遊んだことはあるでしょうか。

私の小学生の子どもがポケモンのゲームにハマっています。ニンテンドースイッチの ポケモン ソード です。

あらためてハマる理由を整理してみると、4つあります。

ポケモンのゲームにハマる四要素

  • 収集

  • 育成

  • 対戦

  • 交換

1つ目の 「収集」 はポケモンをゲットして自分だけのコレクションをしていく楽しさです。

2つ目の 「育成」 は、ポケモンを捕まえて終わりではなく、レベルやなつき度を上げてポケモンを強くしたり進化させます。ポケモンの育成には自分のペットを育てているような感覚があるんですよね。

3つ目の 「対戦」 は自分の好きなポケモンでバトルする楽しさです。4つ目の 「交換」 は友達と通信機能を使ってお互いのポケモンを交換できます。

以上の4つが単独ではなく複合的に組み合わさり、ポケモンは途中で飽きることのないゲーム設計になっているのです。

キャリアへの応用

ポケモンのおもしさの四要素は、大人にも当てはまります。例えばキャリアをつくるヒントになるんです。

では具体的に、キャリアを4つの要素の 「収集」 「育成」 「対戦」 「交換」 から見ていきましょう。

収集は、専門スキルの獲得です。何歳になっても新しいことに挑戦することの重要性ですよね。スキルの獲得からキャリアを充実させていきます。

例えば、最初はマーケティングデータの分析スキルから始まり、マーケティング施策、マーケティング戦略立案力を獲得します。その後は事業開発に広げていくイメージです。

育成は、獲得したスキルの向上です。他のスキルと掛け合わせると、自分ならではの強みになります。具体的には自分のコアのマーケティングスキルにアプリ開発のスキルをかけ合わせてみます。

また、しばらく使っていないスキルを錆びつかせないために、活用の機会をつくるといいです。

対戦は、仕事にはどのように当てはめられるでしょうか?

スキルは実務の場で実践することが大事です。例えば本を読んで得た知識や事例をすぐに自分の仕事で試してみます。スキルは活用してこそ価値を生むんですよね。

では仕事での交換とは何でしょうか?

仕事に当てはめると、自分とは異なる強みを持っている人とお互いの強みを掛け合わせることです。協業やコラボレーションから自分一人ではできない成果を出せます。他には、自分とは立場の違う人 (例: 異業種の人, 違う年代の人, 素人) から貪欲に学ぶ重要性です。

***

ドラクエのレベルアップ


では次にロールプレイングゲーム (RPG) のドラゴンクエストを見てみましょう。

ドラクエの世界ではモンスターを倒すと経験値が得られます。

もらえる経験値はモンスターの強さや特徴に応じて決まっていて、弱い相手からは少しの経験値が、強いモンスターからは多くの経験値が獲得できます。

一定の経験値がたまればレベルが上がります。例えば経験値が累積で 1,000 になればレベルが 10 になります。

レベルアップする5つのパターン

現実の世界に話を戻して、レベルアップとは何かを考えてみましょう。

例えば仕事でのキャリアの観点では、どういう時にレベルアップするでしょうか?

自分の経験から整理をすると、仕事でレベルアップするのは5つのパターンに整理できます。

仕事で自分がレベルアップする5パターン

  • [0 → 1] これまで全くできなかったことができるようになった

  • [1 → 10] 今までよりも上手くできるようになる

  • [横展開] スキルや知見が別の仕事で活かせた時

  • [本質理解] ものごとを俯瞰でき本質を見出せた時

  • [形式知化] 人に教えられるようになった時

以上のようなことが、ふとしたタイミングで時には予想外に訪れた瞬間に自分のレベルアップを感じます。

5パターンの具体例


では、これは私の例ですが5つのパターンの具体例をご紹介させてください。

[パターン 1] 0 → 1: これまで全くできなかったことができるようになった

私の過去の例では、マーケティング戦略やもっと上の事業戦略を自分が主導してつくれた時です。

それまではマーケティング全体の中の一部分や下流領域でしたが、より上流での戦略パートに足を踏み入れられた時です。

[パターン 2] 1 → 10: 今までよりも上手くできるようになる

私の例ではマーケティングリサーチです。リサーチデータの集計、読み込みや解釈が今までよりも短時間で効率よくでき、かつ洞察できた範囲が広く深くなったと感じた時でした。

これは急にできるようになったと言うより徐々にですが、当時の1年前の自分よりもレベルが上がったなと感じた時に自己効力感が高まったのを覚えています。

[パターン 3] 横展開: スキルや知見が別の仕事で活かせた時

これは前職でやっていた仕事の進め方を、今の仕事で活用できる場合です。

自分の例では、Google で当時やっていた新規サービス開発のプロジェクトが、ベンチャー企業の事業開発に活かせると実感できた時でした。

[パターン 4] 本質理解: ものごとを俯瞰でき本質を見出せた時

具体的な私の例では、プロダクト開発でやっていることが要するに顧客の問題解決だと理解できた時でした。

このように抽象化すると、マーケティングやさらにはどんな事業も、結局のところは要するに顧客への貢献だと俯瞰できました。あらやるビジネスに共通する本質です。

[パターン 5] 形式知化: 人に教えられるようになった時

レベルアップの5つ目のパターンは、少し硬い表現をすれば暗黙知から形式知への転換です。

例えば仕事で得たマーケティングや戦略のつくり方を、自分なりのフレームとして一般化してブログや note 、ニュースレター、音声配信のコンテンツにできた時です。

その意味ではこのレターを書いていること自体もレベルアップの機会です。

***

人生はスーパーマリオ


3つ目のゲームは、スーパーマリオです。ご紹介したいのは 「人生はスーパーマリオ」 という考え方です。

私がこれを知ったのは 僕たちがスタートアップした理由 という本からです。

この本を監修した孫泰蔵氏はかつて起業したばかりの頃、資金繰りや社内の人間関係に苦しみ人生のどん底にあったと言います。そんな時に兄でもあるソフトバンクの孫正義社長から 「人生はスーパーマリオ」 という話を聞いたそうです。

以下は、書籍 僕たちがスタートアップした理由 からの引用です。

泰蔵、辛いやろ。苦しかろう。ばってん、お前は今いい経験をしよるとぞ。その苦労や経験は必ず実となって今後お前の人生に絶対に役に立つ。

人生はスーパーマリオみたいなものだ。

最初に1面を始めたときを考えてみい。ザコキャラのノコノコにすぐやられるし、雲に乗ることもできん。だんだん習熟してくるとボスキャラのクッパにたどり着けるようになる。

だけど、本当にクッパを倒せるまでに何度も死ぬことになる。そこで挫折しそうになるのをこらえて挑戦を続けて、やっとクッパをやっつけてピーチ姫を助けることができる。次の2面はまた一段と難しくなっとる。そこで何度も何度も失敗するけど、努力と訓練でスキルを上げてクリアしてゆく。

いまのお前は1面で苦労している段階や。それでいかにも俺に助けてもらいたそうな顔をしているけど、プライドがあって言い出せんのだろう。最初に言っとくけど、俺は助けてやらん。お前の今の困難はおれも経験したし、助けてやるのは簡単やぞ。だけど、ここで助けてたらお前のためにならん。

『そこの土管から3面にワープできるぞ』と教えるのは簡単やけど、いまのお前の実力では3面にいったら瞬殺やぞ。だから、1面、2面で『必ず経験しておくべき失敗をして』、そのうえでクリアしていって、やっと3面のボスキャラに対抗できる実力が身に付く。ここで俺がお前を助けて3面に行かせてやったら、そこで致命的な失敗をする。だから、ここは逃げちゃいかん。お前の勝負どころやぞ。
僕たちがスタートアップした理由 (MOVIDA JAPAN 株式会社)  


当時、兄からこの話を聞くまでは孫泰蔵氏は 「死んでお詫びしよう」 とまで考えていたそうです。

しかしマリオという身近なストーリーであったこともあって気持ちが明るくなり、この話をきっかけに苦境を乗り越えたとのことでした。

これまでの 「今」 の積み重ね

人生はスーパーマリオとは、興味深い例えです。というのも私自身の人生観とも近いからなんです。

自分自身の考え方の1つに、「これまでの “今” の積み重ねが今の自分をつくっている、いかに毎日きちんと生活するか」 があります。

これは自分の中でベースになっています。過去の積み重ねが今で、これからの今を積み重ねると未来になっていきます。だから、いつ何時も 「今」 というこの瞬間をいかに生きるかが大事、と考えています。

マリオに当てはめると、1-1 という最初のステージから始まり、目の前の障害を1つ1つクリアしていきますよね。その積み重ねでマリオやプレイヤーは成長し、ステージを進んでいくことができます。

その過程で時には失敗もします。敵キャラにやられたり、穴に落ちてしまったりです。でもゲームでは復活でき、その経験は次に活かすことができます。実社会においても今失敗したことを次にどう活かすかは、失敗を糧にできるかどうかの分かれ目です。

失敗した時は何かとんでもないことをやってしまった感じがします。しかし後から振り返ってみると、実はそんなに大したことではなかったと思うことはないでしょうか?

1年後に当時を振り返ると、失敗をしたことで自分の経験値が増えたと思え、失敗をポジティブに捉えられることもできます。

これはマリオの話で言うと、「泰蔵、辛いやろ。苦しかろう。ばってん、お前は今いい経験をしよるとぞ。その苦労や経験は必ず実となって今後お前の人生に絶対に役に立つ」 という状況です。

風向きと帆の向き


マリオの話で思ったのは、人生においては 「変えられること・変えられないことがある」 ということです。

当たり前と言えばそれまでですが、マリオではゲーム内に用意された各ステージについてはプレイヤーは変えられません。どうしてもクリアできないからと言って、敵の出現やステージ構成をいじることはできないですよね。

しかし、各ステージや敵に対して自分がどう対処するかは変えることができます。敵キャラをやっつけるのか、攻撃をよけて先に進むのか、それとも土管や雲の上に行ってショートカットをするのかです。

つながるのは私の好きな言葉です。

You can't control the wind but you can adjust your sails. 
風向きは変えられないが、帆の向きは変えられる。


風の向きとは、自分がコントロールできないことです。帆の向きはコントロールできます。2つを区別し、そして自分のコントロールできることに集中することの重要性を示した言葉です。

今日のアクション

そろそろ今回のレターも終わりです。ここまで読んでいただきありがとうございます。

自分が好きなゲームから3つを選び、仕事やキャリアへの意味合いを掘り下げました。いかがてしたか?

3つのゲームからのヒントをまとめると、

  • ポケモンの 「収集」 「育成」 「対戦」 「交換」 の仕事への応用

  • ドラクエから、5つのパターン別でレベルアップする方法

  • 人生はスーパーマリオ (目の前のつらいことも、いつか後で役に立つ) 


以上をさらにまとめると、「仕事や人生ではどんなことからも学べる」 ということです。ゲームとは一見すると娯楽で、ともすれば単なる暇つぶしです。しかし少しだけ見方を変えるだけでも、新しい発見が得られます。

今回はゲームでしたが、ぜひあなたの日常の中から気づきを見つけてみてください。

いただいた質問への回答

[質問 ] メタファーの定義とは?


メタファーの辞書的な定義は 「隠喩」 です。

とはいえ暗喩は日常生活であまり使わない言葉です。隠喩とは何かを、対義語の 「直喩 (直接的な表現) 」 と比べて回答をしました。

回答の詳細はこちらをご覧ください。

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レター作成者

多田 翼

Aqxis 合同会社 代表 (会社概要はこちら

経歴
Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立。Aqxis 合同会社を設立し代表に就任。Google 以前はインテージにてマーケティングリサーチ業務に従事。
京都大学大学院 工学研究科 修了。

主な事業
マーケティング, マーケティングリサーチ, 事業戦略などのコンサルティング事業
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