#30 プロが伝授!マーケティングリサーチのことがよくわかるレター

マーケティングリサーチの役割、インタビューの方法を解説し、目指したいマーケティングリサーチャー像をご紹介しています。
多田 翼
2021.06.17
誰でも

こんにちは。メールを開いていただきありがとうございます。

今回はマーケティングリサーチです。

レターからわかる内容は、

  • マーケティングリサーチャーの経歴
  • リサーチとマーケティングを人間にたとえると
  •  「好きな相手へのプレゼント」 とマーケティングリサーチ
  • 相手への2つの訊き方
  • レンガ職人とリサーチャー


マーケティングリサーチについて、2つのたとえから解説をしています。「マーケティングリサーチって何をすること?」 と思い興味を持っていただけた方には、参考になればと思います。

ぜひ最後まで楽しみながら読んでみてください。

マーケティングリサーチャーとしての経歴 (インテージと Google) 


最初に、私自身とマーケティングリサーチについて簡単に紹介をさせてください。

私が新卒で入社した会社がインテージでした。マーケティングリサーチの会社です。インテージでの経験が自分のキャリアのベースになっています。

その後に Google に転職してからも、ポジションは 「マーケティングリサーチ マネージャー」 でした。Google では BtoB (法人向け) マーケティングと BtoC (一般消費者向け) マーケティングの両方に関わりました。最終的には 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 となり、Google ならではのマーケティングとマーケティングリサーチの経験を積むことができました。

では、あらためてマーケティングリサーチとは何かを見ていきましょう。

マーケティングリサーチは手段

そもそもマーケティングリサーチとは何のためにあるかを一言で言うと、マーケティングリサーチはマーケティングの手段です。

この関係性を人間にたとえてみます。

マーケティングリサーチの役割は外部情報をキャッチするセンサーです。人の機能で言えばマーケティングリサーチは 「五感センサー」 です。

五感センサー

  • 目で見る
  • 耳で聞く
  • 肌で感じる
  • 舌で味わう
  • 鼻で嗅ぐ


人間は五感から情報を収集するように、マーケティングリサーチの役割はファクトとして正しい情報を得てマーケティングに送ります。

では次に、マーケティングについても人間の身体にたとえてみます。マーケティングを大きく 「戦略」 と 「施策」 に分けてご説明します。

マーケティング戦略と施策

マーケティング戦略は、全身を動かすための司令塔の役割です。人間の 「脳」 に当たります。

マーケティングリサーチからの情報を受けて戦略を立てます。方向性としてマーケティングの方針です。マーケティング目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の明確にします。

そして戦略はマーケティング施策に落とし込みます。

マーケティング戦略が 「脳」 だとすると、マーケティング施策は 「身体運動」 です。

マーケティングで大事なのは施策実行をやりっぱなしにするのではなく、施策の振り返りと検証を行うことです。人間に例えれば、運動をすれば五感センサーから新しい情報が入ってくるので脳にフィードバックします。PDCA をまわすイメージです。

***

マーケティングリサーチが必要な時とは?

ここまで、マーケティングリサーチとマーケティングの関係を人の身体に当てはめました。ここからはマーケティングリサーチをやる意味を、さらに掘り下げてみましょう。

先ほどお伝えしたようにマーケティングリサーチはマーケティングの手段です。マーケティングの目的がリサーチをしなくても達成できるのであれば、マーケティングリサーチは必要ありません。

では、マーケティングリサーチが必要なのは具体的にどういう状況で、どんな時には不要なのでしょうか?これを、「好きな相手にプレゼントする話」 に当てはめてみます。まずはリサーチが不要な場合です。

マーケティングリサーチが不要な時


好きな相手の欲しいものをいちいち調べなくても、その人のことを自分が誰よりも知っていればリサーチは不要です。わざわざ相手に聞いたり友人に相談せずに、自分でプレゼントを決められますよね。

リサーチに時間をかけるより、プレゼントに必要なお金をバイトで稼いだり、目当ての物が売り切れる前に予約や買うことのほうが大事です。

マーケティングリサーチも同じです。

マーケティングリサーチはあくまでマーケティングのための手段です。マーケティングの問題解決や目的達成がリサーチをせずにできるのであれば、わざわざマーケティングリサーチをする必要はないわけです。

マーケティングリサーチが必要な時

マーケティングリサーチを実施するのは、リサーチをしないとマーケティングの問題解決ができず目的達成されない状況においてです。

リサーチが必要な状況は、大きくは2つのパターンがあります。好きな相手にプレゼントすることに当てはめると、

マーケティングリサーチをする時

  • そもそも何をプレゼントしていいかわからないとき [探索型]
  • プレゼント候補 (仮説) はいくつかあるが、どれがいいかを決める判断材料にしたいとき [検証型]

訊き方の2つのアプローチ


相手への訊き方も大きく2つあります。直接訊くやり方と、遠回りで間接的に訊く方法です。

では順番に見ていきましょう。

[方法 1] 直接訊く

1つ目のアプローチは直接相手に欲しいものは何かを訊きます。

手っ取り早い方法で、プレゼントする相手が欲しいものをわかっていて教えてくれればプレゼントを決められます。マーケティングに当てはめると市場や顧客ニーズが明確な時です。

ただしこのやり方だと、単に相手が欲しいと言ったものをプレゼントするだけです。プレゼントからのサプライズは演出しにくいです。

[方法 2] 遠回りで間接的に訊く

直接欲しいものは訊かずに、遠回りで間接的に訊きます。

例えば相手が今興味を持っていること、または不安に感じている、悩んでいることから掘り下げていきます。そこから本人も気づいていない本当に大事なことを、こちら側が見出します。見極めたことから、つまり相手の奥にある気持ちや言葉になっていない望みからプレゼントを決めます。

相手はまだ気づいていませんが、どこかで無意識にも欲しいと思っているものです。ブレゼントを渡され箱を開けてみて、「私はこれが欲しかったんだ」 「そうそう、これが気になってたの」 と思ってもらえるものです。

本人も普段は自覚できていない顧客インサイトがプレゼントに反映されていれば、感動するサプライズにつなげられます。

間接的に訊く方法のポイント


ここまで見てきた間接的に訊くアプローチをもう少し掘り下げます。

間接的に掘り下げ直接欲しいものを尋ねない方法なので、どういう訊き方の流れで相手の本音に迫っていくかが大事です。先ほども少し触れたように、まずはプレゼントには直接関係しないような相手の今の興味関心、気になっていることから訊いていきといいです。

周辺領域から訊いていく

  • 普段どんなことをしている時に楽しいと感じるか (時間や寝るのを忘れてしまうこと) 
  • 学生や子どもの時の関連するエピソード (原体験) 
  • 今困っていること、悩みまではいかないがモヤモヤしていること
  • ここ半年から3ヶ月くらいの間で買ったものの中から、自分が最も良かったもの


以上のような相手の興味や価値観に迫る問いを立てます。急がば回れで相手の人間理解をし、相手理解に基づいて自分でプレゼントを決めるのです。

***

目指したいマーケティングリサーチ

最後に私自身が目指したいマーケティングリサーチャー像を共有させてください。

以前に、マーケティングリサーチのコンサルティングをしているクライアント企業の方と、「正しいマーケティングリサーチとは何か」 の議論をしたことがあります。

その時に自分の中で整理できたのは、正しさの要差は3つに分解できることです。

目指したいマーケティングリサーチ

  • 正しいデータを使い
  • 正しい方法で
  • 正しい人がやったリサーチ


ではレターの最後のテーマとして、3つ目の 「正しい人」 にフォーカスを当てて見ていきますね。

3人のレンガ職人


イソップ寓話に 「3人のレンガ職人」 という話があります。

旅人が3人のレンガ職人に 「あなたは何をしているのですか?」 と尋ねると、三者三様の答えが返ってきました。

3人のレンガ職人の答え

  • 1人目: レンガを積んでいる
  • 2人目: 家族を養うために、お金を稼いでいる
  • 3人目: 歴史に残る偉大な大聖堂を建てている


ここでマーケティングリサーチに話を戻すと、3人のレンガ職人の答えをマーケティングリサーチャーに当てはめると、次のようになります。

リサーチャーの答え (レンガ職人の当てはめ) 

  • データ集計をして分析し、レポートを作っている ( ← レンガを積んでいる) 
  • 売上を得るためにやっている ( ← お金を稼いでいる) 
  • 顧客のマーケティング活動と顧客の成功に貢献したい ( ← 偉大な大聖堂を建てている) 


目指したいマーケティングリサーチの3つのうち、1つが 「正しい人がやったリサーチ」 でした。

人の言動や振る舞いには、奥にある価値観や姿勢が知らず知らずのうちに出てきます。だからこそ普段から持っておきたいことは、自分がやっていることの意味合いを俯瞰して持っておくことです。

自分にとっての 「偉大な大聖堂」 は何かです。

最後に

今回はマーケティングリサーチについてでした。

リサーチはマーケティングの中でも黒子的な存在で、派手なものではありません。とはいえ自分自身のキャリアの軸の1つで、このレターでもいつか取り上げたいと思ってました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

***

今週の YouTube

今回のテーマはマーケティングリサーチだったので、最近読んだマーケティングリサーチの本を紹介した動画です。

よかったらぜひ見てみてください。

[書評] リサーチ・ドリブン・イノベーション。「問い」 と 「多様決」 でイノベーションを生むリサーチ方法

レター作成者

多田 翼
Aqxis 合同会社 代表 (会社概要はこちら

主な事業
マーケティング, マーケティングリサーチ, 事業戦略などのコンサルティング事業
※ お問い合わせは会社 HP からご連絡ください

経歴
Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立。Aqxis 合同会社を設立し代表に就任。Google 以前はインテージにてマーケティングリサーチ業務に従事。京都大学大学院 工学研究科 修了。

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