#8 学習力と抽象化力を高める 「三段階アウトプット」 をご紹介
メールを開いていただきありがとうございます。
前々回から、お送りしたレターの中で質問を募集しています。
今回はいただいた質問から 「インプットとアウトプット」 というテーマで、日々のインプットや学び、そこからのアウトプット (活用) をどうすればいいかをご紹介します。
題して 「学習力と抽象化力を高める三段階アウトプット」 です。
レターの最後には、皆さんからいただいた質問への回答も載せています (質問回答は人気コーナーなのでぜひ) 。
ぜひ最後まで読んでいただき、少しでも参考になればうれしいです。
いただいた質問

まずはいただいた質問のご紹介です。
質問は2つで、「日々のインプット、日々の学びはどのような手段をとっていますか?インプットの際に意識されていることも含めて教えていただきたいです」 と、「私は今年は抽象化力を高めたいと考えています。抽象化力を高めるためにアドバイスをいただけないでしょうか」 でした。
なぜこの2つの質問を一緒に取り上げたいかと言うと、私が思ったそれぞれへの回答に共通するのは 「アウトプット」 だからです。
アウトプットの3ステップ
では順番に1つ目の質問の 「日々のインプットや学ぶ時に意識していることは?」 から見ていきましょう。
質問への答えを一言で言うなら 「アウトプットありきでインプットする」 です。時間軸で整理をすると、インプットの前から最中、そして後で、常にどう活用するかというアウトプットを常を意識するようにしています。
インプットからアウトプットへは、3つの段階があります。
インプットからアウトプット (3ステップ)
-
思い出す 「想起」
-
自分の言葉で言い直す 「再言語化」
-
すぐに使ってみる 「実践」
では、3つの説明を具体例も入れながら解説していきますね。
[ステップ 1] 想起

想起とはインプットしたことを思い出す機会をつくります。思い出す回数や機会が多いほど記憶に定着しますよね。
具体例に当てはめると、例えば読書です。
読書中に区切りのいいところ、例えば1つの章を読み終わったら本を閉じ、キンドルなら画面をスリープにし読んだ内容を振り返ります。具体的には 「この章のポイントを3つにまとめると」 と自分に問いかけてみます。
仕事での専門分野の勉強なら読んでいる最中だけではなく、翌日、3日後、1週間後と定期的に思い出す機会をつくるといいです。
頭の中で思い出している状態なので厳密にはアウトプットとは言えないかもしれません。ですが、私は 「想起」 も三段階アウトプットの1つ目としてカウントしています。
[ステップ 2] 再言語化
2つ目のステップが自分の言葉で言い直してみる 「再言語化」 です。
インプットしたことへの自分の理解を言葉で表現するアウトプットです。ポイントは 「書かれていた」 「聞いたこと」 をそのまま暗記するのではなく、自分の言葉で言い換えます。
再言語化のプロセスで理解が深まり、記憶としても強化されるんですよね。
読書の例で続けると、1つ目の 「想起」 の時に書いてあった内容をそのままではなく、自分の言葉で言い直してみます。周囲の状況にもよりますが、独り言のように口に出してその場で話してみるといいです。話すだけではなく紙に書くのも効果的です。
書いたり話すアウトプットの機会を持つほど、インプットした内容が定着します。
[ステップ 3] 実践

3つ目のアウトプットのステップはインプットしたことを自分で使ってみる 「実践」 です。
実際に活用する機会をつくり、より具体的に使うアウトプットです。
例えばインプットしたことを人に説明をしてみます。もし直接伝えたり教える相手がいなければ、頭の中で相手をイメージして説明をしてみるといいです。この時にあまり詳しくない人を選んでみましょう。例えば部署の違う同期、家族、友人です。
読書に当てはめれば、本から学んだことを同僚との雑談に話題として入れてみます。他には、すぐに仕事で試してみる、会議で引用する、企画や提案の中に使ってみるといいです。
実際に仕事で使おうとすると、理解ができているところと曖昧な部分がわかるんですよね。理解が十分でないところは次のインプットにつながります。
インプットや学びの前や最中から、虎視眈々と狙うようにどんなアウトプットができるかを常に具体的に意識してみるといいです。
では、いただいた質問の2つ目を見ていきましょう。
抽象化力を高める方法
2つ目の質問は 「抽象化力を高める方法を教えてください」 でした。
ポイントは具体と抽象です。抽象化力を高めるためには、
-
ものごとを解像度高く具体化する
-
具体を抽象化する
-
抽象化した本質を別の具体に落とし込む
図でイメージを共有すると、

抽象化力を高める 「具体と抽象」
では具体的な話で、この方法を解説しますね。
「損して得取れ」 からの横展開
販売手法で、試供品を配るやり方がありますよね。化粧品やサプリではおなじみの方法です。
まずは試供品を使って商品の良さを実感してもらってから、本品を買ってもらうことを狙います。ポイントはいきなり売らずに、お客さんからの信用を築きます。
この手法の本質を考えると、一言で表現すれば 「損して得取れ」 です。
試供品はそれなりの量を無料配布するので、ここだけを見れば赤字です。しかし長い目で見て、本品の売上によって後から赤字を回収して収益を出します。
では、この話を他のことに応用してみましょう。
例えば仕事への姿勢です。具体的なシーンとして、会社での部署異動や転職後の新しい環境になった状況をイメージしてみてください。
最初は、まわりの人がやりたがらない地味な仕事を積極的に手を挙げて取り組んでみるのです。こうした仕事で成果を出し信用を得てから、自分のやりたいことに広げていきます。最初は損な役回りですが、長い目で見れば必要なプロセスだと捉えるわけです。
以上の例をまとめると、
-
試供品から本品への販売手法の本質は 「損して得取れ」
-
損な役回りの仕事は 「試供品」
-
自分のやりたい仕事が 「 (収益につながる) 本品」
書籍 「メモの魔力」 の3ステップ

抽象化力を高めるヒントでもう1つご紹介します。
書籍 メモの魔力 に書かれている方法です。今回のレターの文脈で言えば、抽象化力を高める3つのステップです。
書籍 「メモの魔力」 の3ステップ
-
ファクト
-
抽象化
-
転用
新 R25 に、著者の前田裕二さんへのインタビュー記事があります。記事には3つのステップがわかりやすい例で紹介されています。
中学校時代に一番影響を受けた人は?
・ファクト
→ ギターをくれた親戚のお兄さん。
・抽象化
→ どんなときも味方でいてくれて、無償の愛を提供してくれた。それが物凄い支えになった。
・転用
→ 今度は自分が誰かの味方になって、無償の愛を提供していこう。
この3つのステップを、前田さんは下の図のような感じでノートに書いています。
左から 「ファクト」 「抽象化」 「転用」 です。

書籍 「メモの魔力」 の 「ファクト」 「抽象化」 「転用」 (引用: 新 R25)
まとめると 「三段階アウトプット」
今回の内容をまとめますね。
最初にいただいた2つの質問をご紹介しました。
いただいた質問 (2つ)
-
日々のインプットや学びで意識していることは何ですか?
-
抽象化力を高める方法を教えてください
私の答えに共通点するのは 「三段階アウトプット」 です。
1つ目の質問の日々のインプット・学びで意識していることは 「アウトプットありきのインプット」 です。具体的には、想起、再言語化、実践の三段階です。
2つ目の質問の抽象化力を高める方法は 「アウトプットの具体と抽象」 です。これも三段階があり、具体、抽象、横展開です。
以上を図にまとめると次のようになります。

三段階アウトプットのまとめ
今日のアクション
そろそろ今回のレターも終わりです。ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回はいただいた質問から三段階のアウトプットを考えました。例では読書を当てはめましたが、他にもお仕事や趣味にも参考になるかと思い、ご紹介しました。
ポイントは、インプットはアウトプットとセットで意識するといいです。そして、アウトプットも解像度を上げるといくつかの段階があります。
今回は三段階でしたが、ぜひ自分の仕事でなど実際に活用するところまでをやってみてください!
いただいた質問への回答
好評いただいている質問回答コーナーです。
今回ご紹介した質問以外にも、質問をもらっているのでご紹介しますね。
いただいた質問
-
時間的・精神的な余白をつくるためにやることは?
-
音声配信 Voicy チャンネル開設に再チャレンジしたい理由は?
-
尊敬している人とその理由は?
-
theLetter (このレターサービス) を選んだ理由は?
-
ドラマやバラエティなどのテレビは見ますか?
[質問 1] 時間的・精神的な余白をつくるためにやることは?

以下の5つから回答をしました。
-
余白の目安は 20~30%
-
やらないことを決める
-
完璧主義を捨てる
-
小説 「モモ」 からのヒント
-
戦略的な時間術
回答の詳細はこちらです。
[質問 2] 音声配信 Voicy チャンネル開設に再チャレンジしたい理由は?

音声配信の Voicy でチャンネル開設をしたい理由は4つです。
-
音声配信サービスで自分が一番使っているサービス
-
向こう側に行ってみたい好奇心
-
もっと多くの人に届けたい
-
負けっぱなしでは終われない (過去4回の不合格)
詳細はこちらをどうぞ。
[質問 3] 尊敬している人とその理由は?

この質問を見て最初に思い浮かんだ尊敬する人は、Google の時の同僚でした。その人は発想力、表現力、論理力のいずれも高いレベルで兼ね添えていました。
発想力だけここでご紹介すると、
-
着眼点や切り口がユニーク
-
高い視座だけではなく、現場感覚も優れている
-
視野が広い (見ている領域が広く時間軸が長い)
-
視点が多い
-
相手 (例: クライアント) に新しい気づきを与え続けている
表現力、論理力についての詳細はこちらをご覧ください。
[質問 4] theLetter (このレターサービス) を選んだ理由は?

このレターサービス 「theLetter」 を知ったきっかけ、選んだ理由に分けて答えました。
詳細はこちらです。
[質問 5] ドラマやバラエティなどのテレビは見ますか?

質問の回答は 「テレビは全く見ていない」 です。
これだけの答えだと質問いただいた方に申し訳ないので、回答では小説を読むおもしろさを書きました。
仕事やキャリアに活かす小説の楽しみ方
-
経営から仕事のやり方まで参考になる (知らない世界の小説を通じての疑似体験)
-
専門分野への学び (小説が知識や理論の 「実践の場」 になる)
-
価値観や人生を知れる
-
時代を超えたビジネスの本質がある
詳細はこちらからどうぞ。
質問・リクエストを募集しています
もしご質問やリクエストがありましたら、こちらの匿名の質問箱にぜひコメントください!
いただいたご質問やリクエストはレターでも取り上げられればと思っています。
それでは次回またお会いしましょう!
レター作成者
多田 翼
Aqxis 合同会社 代表 (会社概要はこちら)
経歴
Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立。Aqxis 合同会社を設立し代表に就任。Google 以前はインテージにてマーケティングリサーチ業務に従事。
京都大学大学院 工学研究科 修了。
主な事業
マーケティング, マーケティングリサーチ, 事業戦略などのコンサルティング事業
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