#4 戦略的に行動できるようになる4つのポイント

4つのポイントは、① 目的、② やらないこと、③ 勝ち筋、④ 負け戦です。具体例も交えながら見ていきましょう。
多田 翼
2020.12.10
誰でも

こんにちは。多田翼です。

Aqxis 合同会社の代表をしています。

はじめに

このニュースレターでは、第1回から3回にわたって戦略とは何かを読者の皆さんと考えてきました。


今回のレターでは、「どうすれば戦略的なものの見方や考え方ができるようになるか?」 を掘り下げます。

ぜひレターを最後まで読んでみて、よければ感想も教えてもらえるとうれしいです。

戦略とは何か


まずはそもそもの戦略とは何かです。

過去のレターで詳しく書いていますが、すでに読んでいただいている方には復習として、今回から新しく購読いただいた方への共有も込めて戦略の本質を考えてみましょう。

私の一言の定義があって、戦略とは目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。

戦略の肝は 「何をやらないか」 にあります。多くの選択肢のある中でやらないことを決め、残った 「やること」 に自分たちのリソースを集中的に配分します。

このあたりは、第一回のレターで詳しく書いています。よければこちらも読んでみてください。

戦略的になるための4つのポイント

では今回のレター本題、「戦略的に行動できる方法」 です。

いきなりの質問ですが、もし 「戦略的になるにはどうすればいいか」 と聞かれれば、どのようにお答えになるでしょうか?

戦略的になるためのポイントは、次の4つです。


ではそれぞれについて順番に見ていきましょう。

[ポイント 1] 目的を明確にする

先ほどの戦略の定義でお伝えしたように、戦略とは目的があってのものです。

逆に言えば、目的がなかったりあったとしても曖昧では、本来は戦略をつくることができません。

戦略的になるための第一歩は目的の明確化です。自分たちが目指す先とゴール設定から、目的を解像度高く設定します。

[ポイント 2] 「やらないこと」 を決める

2つ目のポイントも戦略の定義からです。戦略とは目的達成のための 「やること」 「やらないこと」 の決めごとでしたよね。

順番が大事で、先に 「やらないこと」 です。やらないことを決めるのは、やることを決める以上に難しいものです。

足し算の 「あれもこれも」 ではなく、引き算の 「あれかこれか」 です。

[ポイント 3] 勝ち筋をつくる


戦略的になるポイントの3つ目が勝ち筋です。

勝ち筋という言葉は、もしかすると聞き馴染みのないかもしれません。

勝ち筋とは、置かれた環境において自分たちに最も適した勝つためのポイントです。勝ちパターンにつながる勝利の鍵です。

よくスポーツでは 「勝利の方程式」 と言われますよね。例えば野球では試合終盤の緊迫した場面で、必勝を期した投手の継投リレーを勝利の方程式と表現するのを聞いたことがあるかもしれません。

勝ち筋への意識を高め、今の競争環境の中で自分たちの勝ち筋は何か、競争相手の勝ち筋は何かを徹底して追求します。

[ポイント 4] 負け戦を想定する

戦略的になる4つ目のポイントが負け戦の想定です。

戦略的になるために 「What if」 という 「もし ~ ならどうするか」 を常に考えるといいです。プラン B という代替案を持っておくのです。

What if の中でも大事なのは、自分たちが負けるシナリオです。どうなってしまうと戦略が失敗に終わるかです。

失敗した場合の撤退シナリオも用意しておきます。負け戦だとわかっているのに、なんとかなるだろうという希望的観測でいつまでも実行し続けることは避けるべきです。

戦局が敗戦濃厚になってから撤退シナリオをあわててつくるのではなく、あらかじめ最悪のケースとして準備しておきます。

ここまで、戦略的になるためのポイントを4つに絞って見てきました。

  • 目的を明確にする
  •  「やらないこと」 を決める
  • 勝ち筋をつくる
  • 負け戦を想定する


ではより深く理解するために具体例をご紹介します。以前に私が関わった仕事です。

Web メディアの立ち上げ事例


これは以前に私が仕事で関わった Web メディア立ち上げの事例です。

ところどころを変えたり、別の案件と混ぜたりはしていますが、本質的には今回の文脈で捉えられるように書いています。

Web メディアを立ち上げから、 戦略的になるための4つである、目的、やらないこと、勝ち筋、負け戦を順番に見ていきましょう。

1. 目的を明確にする

新しく立ち上げる Web メディアの存在意義を、会社のミッション (使命) から落とし込みました

クライアントの会社がミッションとして掲げていたのは、「ハマるように熱中する人を増やす」 です。世の中に一人でも多く何かに熱中する人を増やし、応援したいというミッションです。

ここからメディアの役割を熱中している人を取り上げ、なぜ夢中になっているかのストーリーや人間性にフォーカスすることを目指しました。

メディアのコンテンツを読者に見てもらうことによって、熱中することを見つけるサポートをしたい、一歩踏み出せるように背中を押したいという想いです。

2. 「やらないこと」 を決める


一般的に Web メディアで重視するのはページビュー (PV) です。何回そのメディア内のページを見てもらえたかです。

立ち上げる Web メディアでは従来の PV 重視とはしない方針にしました。

もし PV を優先するなら、例えばメディアの記事タイトルは 「 [完全保存版] ◯◯◯ ができるための3つのコツ」 のようなものになります。

確かにタイトルは魅力的に見えるので思わず中身を読みたくなるでしょう。しかし、えてして起こるのは見る前の期待に対して中身が期待はずれなことです。

重視したのは、メディアのつくり手である自分たちがメディア運用・記事企画・作成で熱中できるかどうかです。

メディアに関わる人が熱中する人になれるにはどうすればいいかを考え、これに沿わないものはやらないと決めました

3. 勝ち筋をつくる

何かに熱中している時は高い温度感があります。見ているだけでも伝わってくるものです。

そこで Web メディアでフォーカスを当てたのは 「人からの温度感」 です。

すでに自分の熱中することを見つけていて熱量が高く取り組んでいる人、これから一歩を踏み出そうとしている人を取り上げました。メディアの記事コンテンツは抽象的で終わらずに、自分たちがこの人だと選んだ人に光を当て、熱中していることとその人の人間性にも注目しました。

例えば、子どもの頃に憧れていたギターを大人になってから挑戦した人です。


この方は、心のどこかでずっとやりたいと思っていたものの、結局は本格的にギターをやることなく年齢を重ねました。

しかし30才になるタイミングで楽器店に行き、その場で念願だったギターを購入しました。それからは平日は仕事から帰った後の夜と、休日にも少しずつ時間を見つけてはギターに熱中していきました。

始めはどう練習していいかもわからずでしたが、YouTube のギター演奏動画を知ってからは少しずつ弾けるようになっていきました。

このような大人になって今でもどこか心にやり残したことがある、そこから決心をし挑戦して熱中していく経緯を現在進行で伝えていくコンテンツにしました。

始めから最後にどうなったかの結論がわかっているのではなく、もしかすると途中で挫折するかもしれませんが、読み手と一緒に熱中への温度感が高まっていくような、リアルタイムで体験していく飾りのないストーリーです。

Web メディアの立ち上げメンバーは、温度感のある等身大のストーリーが熱中を伝搬させることに勝ち筋を見出しました。具体的な内容から人と熱量の温度感が読み手にも伝わり、熱中が伝播していくことを目指しました。

4. 負け戦の想定

Web メディア立ち上げの負け戦とはどのような状況でしょうか?

端的に言えば、取り上げた熱中が読み手に伝わらず、空回りしてしまう状況です。メディアから価値が得られず、読んだ時間を無駄にしてしまったと思えるユーザー体験です。

なぜ熱中が伝わらないかを掘り下げると、例えばあまりにも特殊で自分が共感できないことへの熱中です。書き手やメディアの独りよがりな熱中話と言っていいでしょう。

とはいえありきたりな熱中では、このメディアにしかない価値を出せません。ここのバランスを見極めながらメンバーとの議論を何度も重ねました。

結論は、コンテンツで取り上げる人の熱中への想いと背後にあるストーリーに、まずはメディアのつくり手である自分たちが熱くなれるかという判断軸でした。


その人のことを応援したくなると思える、自分も何か新しくやってみたいと思えるかです。これらは主観的なものですが、「世の中に熱中を伝え、一人でも多くの熱中している人を増やす」 というミッションを体現するメディアになるためには、誰よりも自分たちに熱中があるかを重視しました。

メディアの立ち上げ方針として決めたのは、半年という一定期間を決め、それでも見込みがない時はメディアをクローズすることにしました。これが撤退シナリオです。

以上の戦略的になるための4つのポイントをまとめると、次のようになります。

今日のアクション

そろそろ今回のレターも終わりです。ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回は 「戦略的になるためにはどうすればいいか」 の問いを考えました。4つのポイントである、目的を明確にする、「やらないこと」 を決める、勝ち筋をつくる、負け戦の想定から、具体例を使って掘り下げました。いかがだったでしょうか?

今回のレターから、何かアクションにつながりそうなヒントをお伝えすることはできたでしょうか?

このレターからのアクションでお伝えしたかったのは、繰り返しになりますが戦略的になるための4つのポイントです。


まだ私はいずれも満足できるようにやれてはいません。目的を忘れる、やることばかりを積み上げてしまう、勝ち筋が見えていない、負け戦を考えられていないことがよくあります。

ぜひ一緒に、今回のポイントを1つでも実践していきませんか?

レター作成者

多田 翼
Aqxis 合同会社 代表 (会社概要はこちら

経歴
Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立。Aqxis 合同会社を設立し代表に就任。Google 以前はインテージにてマーケティングリサーチ業務に従事。
京都大学大学院 工学研究科 修了。

主な事業
マーケティング, マーケティングリサーチ, 事業戦略などのコンサルティング事業
※ お問い合わせは会社 HP からご連絡ください

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